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December 04, 2008

国際的合作映画2本

今日取り上げる映画は2本共、日本も加わった国際的な合作で、独立系映画の匂いがぷんぷんします。
どちらも評価が高いのですが、好き嫌いが分かれる映画かもしれません。

1本目は”トウキョウソナタ”、ホラー映画で有名な黒沢清監督の作品です。
主演は、香川照之、小泉今日子、小柳友、井之脇海、役所広司です。
東京らしいところが舞台で、父(香川)はリストラされたけれど家族に言えず、長男(小柳)は勝手に米国軍に入隊してしまい、次男(井之脇)は内緒でピアノを習い、こうして家族がばらばらになっていた時に母(小泉)は泥棒(役所)に連れて行かれてしまいます。
見事なエンディングで終わりますが、事件はいろいろと起こるけどこれといった主張もなく心を揺さぶる感動もありません。
それなのに、今も繰り返し繰り返し思い起こしています。

私はずっと謎解きの気分で観ていて、エンディングの後のクレジットロールが流れている時に音楽が流れず、ざわざわという雑音が流れるのを聞いて、ますます謎が深まり、解釈をずっと考えていました。
そして、芝居仕立てにしたのではないだろうかと思いつきました。
ざわざわとした雑音は客が帰る音、舞台が現代日本でないこと、父以外の家族に起こることは現実離れしていること、映画にしては大袈裟な演技などから、芝居として観れば納得が行くのです。
私には忘れられない、不思議な魅力を持つ映画になりました。

この映画は日本、オランダ、香港の合作です。
脚本はオランダの方で、それに黒沢清監督が惚れた格好のようです。
何となくヨーロッパの雰囲気がしたのは脚本のせいでしょう。
俳優は、香川と小泉は言うまでもありませんが、井之脇海の演技は光りました。
ピアノを弾く様は見事ですし、目がいいという世間の評判に同感です。
小柳友は出番が少ないけれど、立ち姿がいいです。
蛇足ながら、小柳友はブラザー・トムの息子だそうで、私は驚喜乱舞しちゃいました。
ブラザー・トムもバブルガム・ブラザーズも好きなのです。
俳優の点でも忘れられない映画です。

2本目は”ブラインドネス”です。
フェルナンド・メイレレス監督、ジュリアン・ムーア主演の映画で、今年のカンヌ国際映画祭のオープニング作品でした。
日本から見ると、伊勢谷友介と木村佳乃が出演している点で注目された映画でしょう。
おかげで公開規模は大きいのですが、評判が良くなく間もなく終了の雰囲気が漂っています。
私は飽きずに最後まで観て、いろいろ考えさせられたので、沢山の方に観ていただきたいと思いますが、観る人を選ぶ映画であることをお忘れなく。

強い感染性の盲目になる病気が人類に広まり、政府は感染者を隔離するが、隔離棟には医者も看護師も誰も入ることなく、患者だけで生活する状況に陥り、人間の醜い部分と良心が闘い始める。
隔離棟には、ただひとり見えている、患者を夫に持つ妻がいた。
ここでの盲目は真っ暗に感じるのではなく、真っ白な視野になる。
しかし、この盲目になる感染症が何なのか、原因は何なのか、治療法があるのかなど全く語られない。
さらに、登場人物の名前も呼ばれず、あったとしてもニックネームのみ。
国の名前すら語られない。
つまり、この映画はパニック映画でもディザスター映画でもなくゾンビ映画でもない。
サスペンスでもミステリーでもない人間ドラマである。
だから、人間の内面を考えることができる大人しか観賞できないと私は思う。

面白いと感じたことは、まず、見えない人が見える人に頼るのは予想できたが、見える人はどんどん疲労するし、見えない人は見えないことに甘えて裸でいたり汚くても平気だったりすること。
見えない人ばかりになるとそういう事態になるかもしれないなあと思った。
もっと事態が進むと、良心的な人が多ければ隔離されて物資も限られる中でそれなりに助け合うが、悪魔が潜む人がいると支配が始まることに衝撃を受けた。
人間って醜いなあと思った時点がほぼ真ん中の頃で、私はこの人たちが突然見えるようになってどう復帰していくのかが描かれるのかなあとぼんやり考えていた。
ところが、新たな展開を始め、別の観点で人間の醜さが描かれたことに感心した。
最後も再度考えさせられる展開だったが、人間って見えないだけでこんな風になっちゃうし、醜い部分も沢山あるけど美しい部分もあるんだなあと感じた。

この作品はカナダ、ブラジル、日本の合作で、そのおかげで伊勢谷友介と木村佳乃が出演できたようなものです。
ただ、このふたりは俳優陣に溶け込んでいます。
日本語で喋ることも多いものの英語がうまく、演技も他の俳優に引けを取りません。
ただ、伊勢谷の日本語を聞くとわかりますが、あまり品のない日本人の役で、木村の方はキャリアウーマンの役のようです。

感染者の白い視野もスクリーンに表現されますし、見えない人が増えた街の様子もうまく表現されています。
いろんな映画で観たことがあるようなシーンもありますが、人間の内面を考えさせた上でのシーンなので重く受け止めてしまいます。
心理的にずっしりした映画です。

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