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April 24, 2009

”スラムドッグ$ミリオネア”を観たぞ!

最初に私はインド映画のファンであるとお断りしておく。
”スラムドッグ$ミリオネア”を観て、いろんな賞を授けた米国他の人たちはインド映画を知らなくて新鮮に見えたんだろうなあと思った。
”グリーン・デスティニー”の時に香港映画ファンに今更なぜ?と言われたのと全く同じ構図だったんだろう。
”スラムドッグ$ミリオネア”は決してインド映画ではなく、英国と米国の合作映画である。
雰囲気もインド映画ではない。
インド映画のエッセンスが振りかけてあるダニー・ボイルの映画である。
期待していたほど素晴らしい映画だとは思わなかったが、じわーっと感動している。
観ている最中は時間が全く気にならなかったところを見ると、非常に面白く見ていたのだろう。

監督ダニー・ボイルの代表作は”トレインスポッティング”と言われるが、前作になる”サンシャイン2057”の方が私にとっては印象深い。
あの映画は間違いなくSFだが、人間をうまく描いていた。
そのダニー・ボイルがインドを舞台にインド映画の実力を借りた形で自分の映画を撮り切ったのだと思う。

スラムでの撮影やインド全体がテレビ番組”クイズ・ミリオネア”に熱狂する様子は、どうやって撮ったんだろう、すごいと思った。
貧困の中を生き残る知恵は罪じゃないよなあと思ったり、見ず知らずの他人が大金を掴むかもしれないテレビ番組に熱狂する人たちは自分が金持ちになれるかもしれないと思っているだよなあと思ったり、人間のいろいろな面が描かれている。
ちらっとインドでの宗教紛争を絡めたことも忘れないで欲しい。
主人公ジャマールと兄のサリムはイスラム教徒という設定で、おそらくヒンズー教徒が襲って来たのだ。
子供を使って商売する奴ら、暴力団らしき一味、ボンベイからムンバイへの街の変貌などインドの今の姿を描き、インドの列車を効果的に使い、その上に観光地も巧みに取り入れていた。
ラブストーリーを語りながらも人間ドラマに仕上げ、実にうまい作りでバランスの取れた映画に完成している。

インド映画ならお決まりのダンスシーンやインドの匂いのするフォントなどわくわくした人もいたと思う。
いたと思うが、日本での評価は今ひとつ。
感動した!ってシーンはないからなのか、映画館も盛り上がっていなかった。
私はインド映画大好き、インドに行きたいと思っているので、ダンスシーンにはひとり盛り上がっていたけれど、インドだからだけでなくダニー・ボイル作品だからこそ喜んでいた。
この映画を一言で表現すれば、ファンタジー。
でも力強いファンタジーである。

まあ、あまり期待せずに観て欲しい。
ヨーロッパ発のインディペンデント映画の匂いがぷんぷんする映画で、監督がダニー・ボイルで、インド映画のエッセンスがあちこちに振りかけてある力強いファンタジーってところかな。

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sent from W-ZERO3

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