映画”ジャック・メスリーヌ”をとにかく観て!
昨日予告した、惚れ込んだ映画はこれ、”ジャック・メスリーヌ”。
ジャック・メスリーヌに惚れたのではなく、彼を演じたヴァンサン・カッセルがかっこいい〜と惚れました。
以前から知ってはいましたが、これほどの俳優とは知りませんでした。
正式な邦題は”ジャック・メスリーヌ フランスで社会の敵No.1と呼ばれた男”で、Part1ノワール編とPart2ルージュ編の2部作です。
期待もしてなかったし、ジャック・メスリーヌなる人物がどんな人だったのか知らなかったし、フィルム・ノワールっぽいから観ようと思っただけでした。
2部作を同時公開しているから続けて観るべきかなあ、でもどうしようかなあと迷って、まずPart1を観ました。
面白い!即、Part2も観ることに決めました。
同じ決心をした方も何人もいて、ちょっとした同志の気分でした。
4時間以上も映画を観ていたからPart2の途中でうとうとしましたが、面白くて決心は間違いではありませんでした。
一般的にはギャング・アクション映画と言えますが、単なるアクション映画ではなくてジャック・メスリーヌの生き方を描いた映画でしょう。
ノワール編では、アルジェリア戦争で戦ってフランスの両親の元に帰って来たジャックが悪友とつるんで犯罪に手を染め、ギャングに認められ、結婚し、子供も生まれ、一時はかたぎになるものの、より大胆になって強盗を働く。
そして、投獄されて虐待を受けた後に脱獄する。
ルージュ編では、フランスで社会の敵と呼ばれるようになって強盗や誘拐を重ねる一方、自伝を出版するなどメディアに現れ、1979年11月2日にパリで警官隊の銃撃を受けて死ぬ。
ストーリーはこんな感じだが、60\xB070年代を再現した映像は素晴らしく、ヴァンサン・カッセルは観客を魅了し、4時間強を長く感じさせない。
私は決してジャック・メスリーヌの生き方を肯定しないし憧れないが、ヴァンサン・カッセル演じるジャックは実に魅力的で、女性にもてて誰ともすぐに仲間になれたジャックはきっとこんな人だっただろうと思わせるヴァンサンって男前と惚れてしまった。
ジャックを演じているヴァンサンがかっこいいのか、ヴァンサン自身に惚れたのか、その辺ははっきりしないけれど、とにかくかっこいい。
後で知ったが、ヴァンサンはまず20kg増量してルージュ編から撮影に入り、撮影中に減量しちゃうから最後に一番若い頃を撮影したそうだ。
脚本にもダメ出ししたことがあるそうだし、ヴァンサンって並の俳優じゃなかったんだとじっくりプロフィールを読んだら、俳優になるべくしてなったような家庭で育ち、奥さんはかのモニカ・ベルッチ!
おお、すげぇよ、これからヴァンサンは観るようにするよと思いました。
同じ社会の敵を主人公にした”パブリック・エネミーズ”とは雲泥の差。
あっちは上っ面を撫でただけ、ドライとすれば、こっちは登場人物の内面が手に取れるようなウェット。
俳優の演技がいいだけじゃない、小道具も車も服も何もかもいいし、撮影というか見せ方がうまい。
例えば、最後の銃撃シーンをノワール編でジャック側の視線で描き、ルージュ編の冒頭で銃撃後を見せてから最後にもう一度銃撃シーンを警察側の視線で描いている。
結果はわかっている、歴史的事実としてジャックは銃殺されているのに、どきどきしてしまう銃撃シーンはうまいとしか言いようがない。
視線を変える技巧的テクニックを売りにした映画は過去にあったけれど、それを演出のひとつにしているこの映画は懐が深い。
全然この映画の良さが書けていないのはわかっているけれど、これ以上書けないから騙されたと思ってとにかく観て!としか書けない。
あいにく公開館数が少ないので映画館で観るにはエネルギーが要るが、できれば大きなスクリーンでヴァンサン・カッセルに魅了されて欲しい。
ジャック・メスリーヌの自伝”ジャック・メスリーヌの生涯ー世界を震撼させた犯罪王”は早川書房から出版されているが、私は自伝ではなくて映画がいいのだからどうでもいいかも。
2009年セザール賞の主演男優、監督、音響で受賞、2008年東京国際映画祭で最優秀男優を受賞しているジャン=フランソワ・リシェ監督のフランス映画である。
ハリウッド映画ではない、無駄に金をかけていない、大作とは呼ばない、でも傑作・・・ああ、いくら言葉を並べても良さを表現できないのが悔しい。
とにかく観て!
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