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July 11, 2011

褒める映画2本

今朝の日差しは夏、夏が来たぞと叫んでいるようでした。
梅雨明けの仮発表が金曜で、土曜は夜更かしのため昼頃起き、日曜はお尻の左側が痛くてよく眠れなくて外出しなかったので、梅雨明け後の初めての朝を迎えた訳です。
お尻が痛かった原因は不明ですが、つった感覚あるいは筋肉痛みたいなもので動いているうちに消えちゃいました。

今日は、悔しいけれど褒めるしかない映画と手放しで褒める映画の紹介です。
悔しい方は”SUPER 8/スーパーエイト”です。
監督と脚本を務めたJ.J.エイブラムスとの相性が悪いので、ノリノリで観に行ったのではなく、シネコンのポイントを貯める期限がもうすぐ来るし観ておこうかという程度で行きました。
エイブラムス作品と言えば、テレビドラマの”LOST”と映画”スタートレック”を思い出します。
世間の評判はいざ知らず、私はどちらも評価しません。
但し”LOST”は企画、”エイリアス”も”FRINGE”も企画してます。
超常現象が好きよね、と超常現象物は嫌いなので”エイリアス”は途中で放棄し、他は斜に構えて見てました。
特に”LOST”の超常現象の世界はイライラしたので、”SUPER 8”はエイリアンが登場しそうなこともあり期待しませんでした。

ところがです、ストーリーはエイブラムスの意図を汲み取って省きますが、子供を主人公とする日本の怪獣映画に似ているのに、大人が観ても十分に楽しめる映画に仕上がっていて、私も時計を気にすることなく楽しんでしまいました。
エイブラムスが子供の時に既に映画を撮っていた思い出とタイトルになっている8ミリ映画への思い入れがエイリアンの物語とうまく噛み合って程良いブレンドになっています。
エイリアンの物語と子供たちの映画撮影の物語はそれぞれ独立しても通用するけれど、ブレンドした話が良いのですよ。
もうひとつ良い点は、子供が一歩大人になる物語でもあるからです。
ネタバレになるので詳しく書けませんが、どの子供に感情移入してもほろりとしちゃうんじゃないでしょうか。
日本の怪獣映画があくまでも子供のためであるのとは対照的に、子供も大人も楽しめます。
あくまでも観て損はしないし、観なくても損はしないエンタメ映画です。

蛇足ながら、時代を1979年、スリーマイル島原発事故のニュースがラジオから流れるシーンがあります。
それは自主規制に引っかからないのね。
もうひとつ、この映画で顔がわかる俳優はエル・ファニング只ひとりです。
子役はあちこち出ている子もいるけれど、他は無名に近い俳優たちでしょう。
つまり、製作のスティーブン・スピルバーグとJ.J.エイブラムスの名前だけで客が呼べるってことですね。
質が伴ったからいいけどさ・・・。

手放しの方は”127時間”、ダニー・ボイル作品です。
ボイルとの相性が抜群と感じたのは”スラムドッグ$ミリオネア”ですが、この映画もその雰囲気を十分に持っています。
ある程度ストーリーを知っていると、鮮やかな映像とポップな音楽で始まることに驚きます。
でも、これが主人公のアーロン・ラルストンの行動と赤茶けた乾いた渓谷ブルー・ジョン・キャニオンの風景にピッタリなのです。

ストーリーは、ポスターが示すように岩に手を挟まれてしまった男が助かった実話に基づいた話です。
つまり、アーロンを演じるジェームズ・フランコの一人芝居に近く、コリン・ファレル主演の”フォーン・ブース”やライアン・レイノルズ主演の”[リミット]”を思い起こさせますが、大自然の中にいることと幻影や幻聴を見るシーンがあることが一味違います。
デジカメで写真を撮ったりデジタルビデオでメッセージを残したりして、気持ちの変化も表現しています。
こういったアーロンの体調や精神状態の変化に合わせて様々なシーンを取り入れ、非常に良く練られた脚本は素晴らしいと思います。
フランコの演技も元気いっぱいの冒頭からどんどん変化していきます。
手を岩に挟まれたシーンの撮影はセットだそうですが、そんなことは微塵も感じさせず、日光のありがたさや水の貴重さなど大自然に晒されていることをひしひしと感じます。
岩に挟まるまでは同感できませんでしたが、挟まって動けなくなってからは体調も気持ちもよく理解できました。

なぜこの映画が縮小公開なのか不思議でなりません。
当然R指定ではありません。
ただ、あるシーンがグロいと言えばグロいので、そこを映画業界が自主規制したのかもしれません。
でもそのシーンがあるからこそ、ラストシーンと結論が爽やかに心に突き刺さるのですよ、肝なんです。
ですから、生半可でなく真のアウトドアをする方たちならば、一般人以上にいっそう感動するでしょう。
この映画はお薦め、大人は観るべきです。
個人的にはボイルを追い掛けるぞと決意した映画です。

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sent from W-ZERO3

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