私的2023年海外劇映画ランキング
海外劇映画ランキングに移ります。
これまではベスト10位内に収めようと候補を削っていましたが、2023年は候補はすべて列挙します。
そのため22位までと長くなります。
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海外劇映画ベスト22
1. SHE SAID/シー・セッド その名を暴け
今作は劇映画ベスト1、総合でもベスト1にしようか迷った映画です。
実話ベースや実話からインスピレーションを得た映画が上位を占めていまして、今作はかのハーヴェイ・ワインスタインの性加害事件をNY Timesが調査報道した話を映画化しています。
もちろん米国映画で、マリア・シェラーダー監督作です。
ワインスタイン氏の長年の性加害がなぜ表沙汰にならなかったのか、性被害者がなぜ世間に訴えられなかったのかが痛いほど伝わってきました。
性被害事件を下手に説明するくらいなら今作を見せた方がいいと思うくらいの出来です。
2. あしたの少女
韓国映画でチョン・ジュリ監督作です。
高校生が実習生として働き始めて3ヶ月後に自死した実話をベースにし、いくつもの罠が仕掛けられて自死へ追い立てられるかのようでヒリヒリした感覚を味わいました
また、捜査する役のペ・ドゥナが良いです。
3. 聖地には蜘蛛が巣を張る
デンマーク・ドイツ・スウェーデン・フランス合作で、アリ・アッバシ監督作です。
イランでの娼婦連続殺人事件の実話をベースに展開されますが、殺人事件そのものよりも殺人犯逮捕後の世間の反応が恐ろしかったのです。
正義だと思って殺人犯が行動した故に非難する声も虚しく聞こえ、慣習や伝統って奴は高い障壁なのです。
4. キリング・オブ・ケネス・チェンバレン
今作は実話を再現したかのような展開で、人種差別も原因だけど意思表示の難しさもあるんだと心が苦しくなりました。
米国映画でデヴィッド・ミデル監督作です。
5. アシスタント
名門大卒で映画プロデューサーになることを夢見て有名エンターテインメント会社に入った女性がパワハラ、セクハラなどに次々と遭うストーリーはフィクションですが、恐らく複数の人のエピソードを再構成したものでしょう。
米国映画でキテェ・グリーン監督作なので、米国のエンターテインメント企業ならありそうなリアリティさでした。
日本でも起こっていそうなことであり、もっと小さいけど私も経験したようなこともありました。
6. シック・オブ・マイセルフ
ノルウェー・スウェーデン・デンマーク・フランス合作でクリストファー・ボルグリ監督作なので、俳優は誰も知らないし社会事情も全くわからないけれど、この承認欲求の主と自己顕示欲の主には覚えがあるぞとじっと見つめてしまいました。
実話を元にしていないでしょうが、類似の事件を参考にしているはずで、薬は注意すべし!と改めて思います。
7. リアリティ
2016年米国大統領選挙へのロシア介入疑惑に関する機密情報をリークしたNSA契約社員の逮捕劇を、捜査資料と録音資料を再現して映画化したもので、もちろん米国映画でティナ・サッター監督作です。
劇中に資料が示されて俳優が再現していると証明しつつ映画は進むのに、訴えかけてくる力強さは何なのでしょう。
8. 生きるLIVING
ようやく現実から離れた完全なるフィクションで、黒澤明監督作「生きる」のリメイク作です。
元の映画を観ていると、ビル・ナイを主演に脚本をカズオ・イシグロ、監督はオリヴァー・ハーマナスでの英国・米国の合作も本質をがっしり掴んでリメイクした名作と断言できます。
9. CLOSE/クロース
実話ベースではありませんが、現代の子供の間では起こりそうな、起こっていそうな事件の前後を描いているので身近に感じました。
ベルギー・オランダ・フランス合作でルーカス・ドン監督作です。
10. キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン
米国映画でマーティン・スコセッシ監督作で上映時間が3時間超ならばフィクションと思いきや、犯罪ノンフィクション小説の映画化であり、先住民族を巡る連続殺人事件の実話を元にしています。
俳優陣も見どころがあり、ストーリーも役どころも陰惨であり陰湿であり根深い闇があり、噛み応えたっぷりの映画です。
11. PIGGY
ポスターからはスプラッターホラーかと想像してしまうインパクト大のスペイン映画でカルロタ・ペレダ監督作です。
いじめに遭っている女の子がいじめっ子が誘拐される場を目撃したところから展開が始まる映画ですが、単なるホラーに終わらないドラマに仕上がっている点が素晴らしいと思います。
12. エンドロールのつづき
やっとほっとできる映画が入りますが、ここからは簡潔な説明にします。
インド・フランス合作で、「ニューシネマパラダイス」のような、フィルム映画の良き時代を思い出させるよくある展開になるだろうとだらーっと観ていたら、正にエンドロールの続き、フィルム映画の次を見せた展開に惚れました。
13. ノートルダム 炎の大聖堂
また実話ベースに戻りますが、まだ記憶にも新しいノートルダム大聖堂の火災を時間経過に沿って再現したかのような映画です。
フランス・イタリア合作でジャン=ジャック・アノー監督作と知って観に行ったら、精密な再現を見せつけられて降伏しました。
14. カード・カウンター
米国・英国・中国・スウェーデン合作でポール・シュレイダー監督作、好きなオスカー・アイザックが主演となれば観に行くしかありませんでした。
ストーリーもわかるけどそれよりもこの雰囲気を作れるなんて凄い!と二度観ました。
15. オマージュ
韓国映画の2本目で、今作はほっこりしました。
古い映画の修復作業をすることになった映画監督が次第に力を注ぎ始めて昔の映画にオマージュを捧げるストーリーは、昔の映画への新しいリスペクトで、この映画監督が女性という点が秀逸でした。
16. キャロル・オブ・ザ・ベル 家族の絆を奏でる詩
ウクライナ・ポーランド合作で、ナチスによるユダヤ人狩りを逃れようとする、人種の異なる3家族を描いたフィクションではありますが、素晴らしいストーリー展開でした。
17. ベネデッタ
フランス・オランダ合作、ポール・ヴォーホーヴェン監督作で、同性愛を告発された修道女の伝記を映画化したものですが、同性愛云々よりも愛しただけだと主張する修道女の先進的な姿が眩しかったです。
18. ワース 命の値段
3.11のワールドトレードセンターテロによる犠牲者への補償を担当した弁護士の実話をベースにした映画で、米国映画ですけど人間たる者は数字ではなく人間を見て仕事をすべきと再認識しました。
19. シモーヌ フランスに最も愛された政治家
全く知らなくて申し訳なかったのですが、タイトルになっているシモーヌは女性だからという理由で政治家に祀り上げられているのではなく、実力と信頼で政治家を続けた女性だったと初めて知りました。
もちろんフランス映画です。
20. ヨーロッパ新世紀
ルーマニア・フランス・ベルギー合作で、現代のルーマニア・トランシルヴァニア地方を舞台に人種差別を描いた力作だと思います。
21. 青いカフタンの仕立て屋
フランス・モロッコ・ベルギー・デンマーク合作で、モロッコを舞台にした伝統衣装のカフタンの仕立て屋を巡る、現代らしい映画で郷愁を漂わせるだけの映画では終わりません。
22. バーナデット ママは行方不明
最後は唯一のコメディ映画で、好きなリチャード・リンクレイター監督作の米国映画です。
勢いのあるストーリー展開に魅了され、ケイト・ブランシェットは何でも演じられる女優と再確認しました。