2024年に映画館で観た日本劇映画のランキング
では、2024年に映画館で観た映画ランキングを挙げていきます。あくまでも私的視点での映画としての評価のランキングです。まずは日本劇映画の部からです。
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1位 九十歳。何がめでたい
ミニシアター系映画館で観ることが多いので、メジャー作でシネコンで上映される映画をランキングに入れることは珍しいのですが、今作は製作がぶっ飛んでいた上に出来がすこぶる良く、1位にしました。
佐藤愛子原作、前田哲監督、草笛光子主演の組み合わせが良かったです。90歳当時の原作を元に90歳の草笛光子が主演したというだけで話題ですが、そこに唐沢寿明が加わった万人向けコメディです。裏テーマで描かれるのは唐沢演じる時代遅れ編集者の方であり、こんな製作をよくまあ松竹が承知したものだと感心します。草笛演じる佐藤愛子も歳相応に生き生きしているし、唐沢の方はイメージをぶっ壊す役をよく引き受けたものです。
2位 あんのこと
打って変わって暗い社会派映画を挙げます。1位とは逆の意味でスタッフとキャストが揃い、現代的で辛くなる良い映画です。キノフィルムズ、やったね!という気分です。
入江悠監督・脚本、河合優実主演で、佐藤二朗と稲垣吾郎が脇を固めてます。正直言って、まさか入江悠監督作が硬派で現代を扱った社会派映画とは予想せずに観、河合優実は良い俳優だなと思ったらすぐに全く異なる役で主演した映画が公開されて二度驚きました。
3位 HAPPYEND
設定は未来なので一応SFにジャンル分けできる映画ですが、ドラマとも青春物とも言え、SFでないと描けないドラマとも言えます。そのバランスが非常に良かったです。日米合作でビターズエンドが配給してます。
空音央監督は今作が初の劇映画で、主演俳優のオーディションで選ばれたふたりは今作がデビュー作となりました。空監督はドキュメンタリー映画の部でも挙げていて、上手い監督なので今後が楽しみです。主演俳優も良く、脇役に見慣れた俳優がいて引き締めていました。
4位 STRANGERS
今作が何だったのかいまだ理解できてませんが、雰囲気が非常に良くて魅了もしくは圧倒されてしまったようです。公開規模は小さかったです。
池田健太監督・脚本、大西礼芳主演、impasse配給の本作はサスペンススリラーとの謳い文句で間違いなくそうでしょうが、結論らしいものはなかったように感じます。でもそれで良いと感じました。
5位 ナミビアの砂漠
これもまた何だったの?と言えなくもなく、現代っ子が好き勝手に生きた末に正解に行き着いた映画だと私は受け取ってます。河合優実が「あんのこと」とは全く違う、人でなしのギャルを最高に演じた点も評価が高いです。
山中瑶子監督・脚本、河合優実主演、ハピネットファントム配給で、まさしく独特の世界観でした。
6位 ココでのはなし
表面上は事件も起こらず、とあるゲストハウスで関わる人たちを描いただけながら、心に深く踏み込んだ映画です。これもまた公開規模が小さかったです。
こささりょうま監督、敦賀零、こささりょうま脚本で、イーチタイム配給です。本作がこささ監督の初長編監督作で、とてもそうは思えないバランスの良い映画です。
7位 ぼくのお日さま
今作も公開規模は小さかったと記憶してますが、池松壮亮が影の主役で、良い後味を残してくれました。
奥山大史監督・脚本で東京テアトル配給なので、東京テアトルは力を入れたのでしょう。子役ふたりが上手いスケート技術を生かした演技をして大人にふんわりと懐かしい思いを残し、池松壮亮はスケートが上手くないのに上手いふりでコーチ役を務めて心の傷を抱えるのは流石と感心しました。
8位 夜明けのすべて
シネコン公開作ながら地味と言えば地味ですが、なかなか取り上げられない病気をテーマにさらりと、かつ人々に実感させた今作を評価したいです。
瀬尾まいこ原作、三宅唱監督、松村北斗、上白石萌音主演、バンダイナムコとアスミックの配給です。PMS(月経前症候群)とパニック障害を取り上げた役の主演ふたりの演技が上手くて、考えさせられた映画でした。
9位 さよならほやマン
今作は公開規模が小さく、コメディなのかドラマなのか迷うノージャンルと言える映画で、下手すりゃご当地映画で終わってしまうところを上手くまとめてます。
庄司輝秋監督・脚本、アフロ主演で、シグロとロングライドが配給です。離島が舞台で漁師を目指す兄と障害者の弟が現れ、ふたりの両親は行方不明で多額の借金を抱えながらも両親の一軒家で住んでいる設定からして具体性があり、後でこの離島のある石巻市は庄司監督の故郷だと知り、何となく納得しました。でも、今作が庄司監督の長編初監督作です。
10位 一月の声に歓びを刻め
3部構成の今作に共通して描きたかったテーマがあったのかわかりませんが、ヒリヒリしたものが根底に流れていて強く印象に残ってます。
三島有紀子監督・脚本、前田敦子、カルーセル真紀、哀川翔主演、東京テアトル配給です。俳優の演技も然ることながら、映像が印象に残ってます。
番外 青春ジャック 止められるか、俺たちを2
名古屋のシネマスコーレを舞台に、今やシネマスコーレ代表である木全純治を主役に据えられると、個人的感情がどっぷり入り込んでしまって冷静にランキングをつけられなかったので番外としました。
井上淳一監督・脚本、井浦新、東出昌大主演、若松プロ配給ですから、私が観ない訳はなく、舞台挨拶も行き、二度目の観賞はシネマスコーレにしました。何度でも観る自信があります。井浦新には何度かお目にかかっているし、芋生悠も杉田雷麟も感じの良い人たちでした。井上監督の舞台挨拶は何度か参加してましたが、実は脚本家としてだけだったような気がし、監督としての挨拶は面白く、自伝を映画にしようとしたら尺が足らなくてスコーレを入れ込んだという内輪話でした。
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